先日、免許証の更新のために江東運転免許試験場に行ってきました。僕は初回更新者講習に該当していたので非常に眠たい講習を2時間受けてきたわけですが(意識を失いかけていた瞬間もあったような・・・)それはさておき。
更新手続きの申し込みから始まり、料金の支払、暗証番号の登録、本籍地・住所の確認、写真撮影、講習、免許の発行、暗証番号と本籍地の再確認という流れの作り方が上手くできていて感心しました。
免許の更新に対して、「更新が楽しくて待ち遠しくてたまらない、モチベーション上がる!」と思っているような人は恐らく殆どおらず、僕のように更新期限の最終日になってやっと重い腰を上げる、というくらい億劫に思っている人のほうが確実に多いはずです。
更新に訪れる人のステータスを推測するに、
- 免許更新に対する関与度、モチベーションは極めて低い
- 免許更新は数年に一度経験するくらいのものなので、更新手続き経験が豊富でどのようなフローで行なうのか熟知しているという人は殆どいない
こういった、関与度やモチベーションが低く後ろ向き、かつリテラシーは低いという「扱いづらい訪問者」を想定した上で、当該試験場の更新フローは非常に上手く作られているなと思いました。関与の度合いやモチベーション、リテラシーに関係なく受動的に流されるままに進んでいっても滞りなく無事に更新が完了するフローになっています。
フローの中で良いなと思った点をいくつか挙げると、
- 各スポットに番号が付与されている。「次は何番に行ってください」という誘導してくれるので番号を追っていけば迷うことはない
- 順路が分かりやすい。広いスペースに見通しよく各スポットが配置されているので迷わない。①の次は②、②の次は③といった具合に自分がいるところの次の番号が最初に目に入りやすい工夫がされている
- 必要なところに人が配置されている。端末を使う場面など、迷う人が出てきそうなスポットには係員の方を配置。口頭で素早く教えていただける。配置の人数も適正
- 機材の最適化。暗証番号を登録する端末、本籍地や住所を確認する端末、写真撮影機材など、流れの中でいくつかの機材と出くわすのだが、フローの中でうまく最適化されている。かつネットワークと上手くつながっているので自分がたくさん書類を持って回る必要がない
現在のこの使いやすいフローも昨日の今日で出来上がったものではないでしょうから、長年かけてカイゼンがなされて今の形になっているのだと思います。ユーザーの目線に立って使いやすさを検証する、というのはそこにいつも従事している職員の方々だけではなかなか見えづらい部分なのかなとも思い、どういった方の肝いりで行なわれているのかも気になるところです。
免許試験場は江東のほかに鮫洲、府中にもあり、更新センターも入れれば更新が可能な場所は都内にもいくつかありますが、免許保有者数と市区町村ごとの免許保有者分布などから各地の「更新ニーズ発生件数」を割り出し、各試験場や更新センターのスペース(敷地)、収容可能人数、職員数なども割り出したりしているのでしょうか。今回行った江東試験場のいわゆる「導線・情報設計」が上手だったので左記のようなところまで思いを巡らせてしまいました。
ちなみに「導線・情報設計」の上手さを感じるシーンとして他に挙げるとしたら健康診断のフローでしょうか。多くの人が訪れ、混雑する中を他人のデータと間違うことなく、もちろん検査を間違うことなくフロー化させているのには感心させられます。
逆にこれは使いづらい!と思った「導線・情報設計」としてはPASMOのチャージインターフェースがあります。私鉄、JR、地下鉄でインターフェースは若干違っていてどこのものが使いづらい、という明言は避けますが、カードを入れてお金を入れて、チャージ金額を選択。この後はチャージがなされてカードが戻ってくることを期待しているのですが、なんと「領収書の有無」を選択しないとカードが戻ってこないという導線・情報設計になっています。日常的に領収書を欲している人の総数を考えたら、欲しい人のみ「有」を選択してもらって、何も押さない=「無」という設計が妥当なのではないかと密かに思っています。
さて、話は免許の更新に戻りまして、更新フローの「導線・情報設計」に感心しつつも無事新しい免許を受け取り、「写真がイマイチだなー」などとぼやきながら出口付近に差し掛かったときに目に入ってきたのが、大きな紙に印刷して貼り出されていた一通の投書。入口側からは見えず、更新を終えて出口付近に差し掛かると目に入るそれには、無謀なな車の運転によって友人の命を奪ってしまい、罪の意識に苛まれつつも日常を暮らしている青年の文章でした。見るともなしに目に入った文章に心奪われ、最後まで読了。僕のように出口付近でわざわざ立ち止まってその文章を読んでいた人は結構いたかと思います。
億劫だった免許の更新を終えて、車に対して、ひいては車の運転や安全に対して関心が高まっている心理状態で読むからこそ最高の効果があるであろう、恐怖訴求での安全啓蒙。冷や水を浴びせられたような感覚に陥りつつも、自分にも起こりうることだなとやけに納得感があり、導線・情報設計の上手さにひれ伏す思いでした、というのは大げさですか。
次の5年後(?)が楽しみです。

